手押車の老婆

628 名前:ふぇれっと ◆0XlML257hA 投稿日:03/11/29 00:33
1/3
2年前の事。
JRと私鉄の最終接続に間に合わず、JRの駅からタクシーで
最寄の駅まで帰ろうしたが、タクシーの運ちゃんが道を間違え
2つ先の駅まで行ってしまった。疲れていて怒る気にもなれず、
かといって、そのままそのタクシーに乗る気もせず、
しょうがないので、そこから徒歩で帰宅する事にした。
携帯で時間を確認すると午前1時30分。
その頃は、まだ引っ越して来たばかりで道にも不慣れだった為
線路沿いをトボトボと自分の住んでいる駅の方に歩き始めた。
20分ぐらい歩いただろうか、前方から人が何かを押して歩いてくるのが見えた。
ガラガラガラガラ…
買い物車(名称が判らないが、タイヤが付いているカゴ付き押し車)を
押して前方から白髪の老婆が歩いて来た。押し車の上には白いビニール袋が
載っていた。
「うわぁ、こんな時間に何だか怖いなぁ」と思いながらタバコを吸いつつ
何気にチラチラと見ながらすれ違った。
「足もあるし歩いてる、人間だ。でも、こんな時間に怖いなぁ」
とビビリつつも家路に急いだ。

629 名前:ふぇれっと ◆0XlML257hA 投稿日:03/11/29 00:34
2/3
やっと自分の住んでいる駅まで来た。携帯の時計を見たら
既に午前2時を廻っていた。
自分の利用している駅の周りは駅前の小さな商店街しかなく、
そこを過ぎると住宅街だ。
食事も摂る気がせず、コンビニにもよらず、そのままマンションまで
帰ろうと住宅街の通りに入った。
そこの十字路を左に曲がれば家までは50mだという所に来た。

ガラガラガラガラガラ

十字路左から音が聞こえる。「え?この音って??」
先程聞いた買い物車を押す音が十字路左側の方から聞こえてくる。
こちらに来ているようだ。
音は段々大きくなってきている。深夜の住宅街にタイヤの音が響いていた。
なぜか俺は焦っていた。
「左に曲がりたくない。でも曲がらないと帰れないし…」
歩調は鈍っていたが確実に俺は十字路に向かっていた。
音はまだする。
「ビビることはない、早く家に帰ろう。」歩調を少し速めにし俺は十字路を左折した。


630 名前:ふぇれっと ◆0XlML257hA 投稿日:03/11/29 00:35
3/3
そこには、押し車を押してこちらに向かって来る一人の老人の姿が見えた。
「まさか、な…」
しかし10秒後、俺は曲がった事を後悔する事になる。そこには30分以上も前に
すれ違った白髪の老婆がいた。
背格好、押し車の色、型、押し車の上には白いビニール袋を載せているのも同じだった。
俺は、その場で立ち止まってしまった。老婆が近づいてくる。もう目の前だ。
だがしかし、老婆は俺の横を通り過ぎて行った。
ガラガラガラガラガラ…
音は遠ざかって行く。
俺は、ホッとした。その場でタバコに火を点けて一息煙を吐いた。
その時、
「あんたにゃ何もしないよ。」
耳元でいきなり声が聞こえた。ビクッとしてタバコを落とした。
俺は全身から血の気が引くとともに振り向く事もなくダッシュで
家に駆け込んだ。

そんな件があったが以降、特に変わった事はない。
俺は何もされなかったようだ。

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2017-10-07 22:18 : 怖い話 : コメント : 0 :
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