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味が抜けてる




友達が泊まりに来た。いつぞやに床から抜けたモノを目撃した女性だ。
例によって、飲んでいて遅くなったらしい。
あの部屋、気持ち悪いとは思うけど、一人で寝る訳じゃないからイイか。
そう思って彼女に電話してきたという。
剛胆な女の知人は、やっぱり剛胆だ。

遠慮なく上がり込んできた友達に、買い置きのお茶菓子を出して応対する。
お茶を入れてから戻ってくると、友達は妙な顔をして菓子を頬張っていた。
あれ古くなってた? まだ買ったばかりなんだけど。
事実、私も姉ちゃんも変な味だと思わなかったし。

ふるふると首を振って否定された。
「いや古くなんかなってないよ。ただね、味が奇妙なの。
 抜けてるっていうか、例えれば・・・」

そこで言い淀んだので、何なの?と問い質す。
「・・・仏前にお供えした物がね、丁度こんな風に味が抜けちゃうの。
 私の母さんもそう言うの。
 最も他の家族は、味の違いなんてわからん!って言うんだけどね」

「あー、うちの祖母ちゃんもそんなこと言ってたよ、確か。
 帰ってきた人が食べた後だからだろうって、そうも言ってた」
いつの間にか帰ってきていた姉が、頷きながら別の菓子を頬張った。

この家、仏壇なんかないじゃん。
憮然とした彼女を尻目に、姉と友達は菓子をペロリと平らげていたそうだ。

部屋を掃除していた姉が、ねぇねぇと聞いてきた。
「やっぱりこの部屋ってさ、私たち以外に誰かが出入りしていると思わない?」
何でそんな不気味なことを聞いてくるのですか、貴女は?

「いやね、このところ毎朝、決まった物がテーブルの上に落ちているのよ。
 置かれているのかもしれないけど。掃除は欠かしていないのにねー」

そういって姉は、団栗を一個差し出してきた。
「これがね、ここ数日、必ずテーブルの上にあるの。
 私はそんなことしないし、あんたもしないよねー」
裏山から何か下りてきてるのかな?
「そうかもねー」

「引っ越せ」
それだけ口にした私に対し、姉妹は顔を見合わせて「予算がねー」とハモった。


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2018-11-16 22:05 : 怖い話 : コメント : 0 :
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